(ふたりのきずな) いつからだろうか… あいつが笑わなくなったのは いつもいつも仲の良かった二人が いまでは心も身体も離れ離れになっていがみ合う 本当にそれは真実なのか おれにはわかっているんだろうか おれの気持ちが… そしてあいつの気持ちが そう、おれたちの気持ちはひとつじゃないはずだ そんなに簡単なものじゃ なかったはず なのに…  「 こぉの虫けらァ!! (ガッッ!) 」 「 ぐはっ! (ガ) ごぉ… (バシ) 」 「 お、おい、その辺にしとけよ! おまえの兄貴なんだろうが! 」 「 るせえ!! これでも足りねえくらいだ!! いつもいつも偽善の看板しょってある きやがって!! 目障りなんだよッ 」 「 (ごほっ…)気が、すんだ… かよ… 」 「 てめえに気が済むわけねえだろ! とっととうせろ日和見やろうがっ 」 ( やぁだ、相場君てお兄さんいじめするんだぁ) ( でもでもぉ! 殴られるだけの兄きってのもさえないじゃぁん?? ) ( ま、それもそうだけどぉ ) ( でもやりすぎよぉ ) なんで、なんでなんだ!! わからねえよ、畜生!  とまらねえ、あいつへの怒り、とまらねえ おれはあいつとは違う… ヤワで終わるタマじゃねえ 相手にしなきゃ済むはずなのに なんであいつはおれの前に現れるんだ …まさかおれが出向いてるってのか そんなはずはねえ あいつだよ あいつじゃなきゃだめなんだよっ  ちきしょうっ  なんでこんなくだらねえことが気になるんだよっ  「 祐希、あんたっ!! 」 「 あおい!? 」 「 もう、なんでいつもこうなるの? どうしてつまんないことで昴冶にはりあうの よ! 」 「 るせえよ。 関係ねえだろうが… 」 「 こっちをみなよ! あたしの目をみて、 それではっきり言いなさい! 」 「 …いくぜ 」 「 こらぁ! … もう、昴冶もしゃんとしなよぉ。いつもやられてばっかじゃ かっこつかないぞ! 」 「 … わるかったよ。 どうせだめ兄貴ですよ 」 「 またふてくされる… 」 ねえ、どうして仲良くできないの  わたしは三人一緒でいたいの 昔みたいにしたいのよ そんなにいがみあわないでよ おねがい 言いたい事はいえばいいじゃない きょうだいでしょ 他人じゃないんだよ 家族なんだよ もっとあゆみよれるはずじゃない ふたりがいないとさびしいの 兄弟がうらやましいの だから ねえ おねがい…  「 昴冶、 またケンカなの? 」 「 ああ、まあね。 」 「 祐希、 帰り遅いわねえ 」 「 また寄り道でもしてるんだよ 」 「 ねえ昴冶、ちょっといって見てきてあげてよ 」 「 じょ、冗談だろ? 大丈夫だよあいつなら 」 「 そうねえ、そうかもね 」 「 ごちそうさま、母さん 」 まったく、 おれはともかく母さんに心配かけんなよな。 「 わぁーーー! 星がきれい! 」 「 おたくのロマンチズムも、あいかわらずだな 」 「 もう、ムードだいなしぃ! 」 「 …ま、 いいてえことはわかってるつもりだよ。 でもさ、出来ねえことって おたくにもあんだろ。 そういうのなんだよ、多分。 」 「 そうなの? まあ、因縁浅からぬふたりだもの、なんとなくはわかるけどさ 」 「 いづれは来るかも知れねえしな。 いまはそういう時じゃねえんだよ、多分 」 「 …… わかったよ。 でも、今日みたいなのはダメ! それだけは約束して 」 「 やくそくはできねえけど、気をつけるさ。 おたくの顔もあるしな。 」 「 きっとだよ! 」 「 だからやくそくはしてねえって… お、おい!! のわぁっ 」 「 さあ、かえるぞっ みんな心配してるよ! 」 「 たくおたくがつきあわしたんだろ! 」 「 かたいこと、いわなぁい! 」 たく、あんたにも一因はあるってのに… まあ、いいさ でもいづれは向き合うな オレ達 そのときはオレを納得させてくれ 兄貴