( 独白 ) オレは、 いちどまみえたら容赦はしねえ。 それが相手への礼儀だと思うからだ。 拳をかわす…それは生きるか死ぬかだ。 そんな事もわからねえ奴は生き延びる資格はねえ。 少なくともオレは、 そういうキナ臭いところで生き延びてきた。 ドブくせえ、這いずり回るネズミが似合うようなダウンタウンで、 はじめはただ独り…それが普通だった。  その内にまとわりついてくる奴も出てきたが、そんなことはオレの 知った事じゃあねえ。 オレに敗れた奴…どこぞのウワサだかを聞き及んで来る奴… 取りあえず害はねえ、それだけの事だ。  「 チーム・ブルー 」  誰がつけたのかは知らねエが、いつの間にやらそんな大層なモンが出来あがっていた。 フーの奴か? まあ、そんな事はどうでもイイ。 確かに組織はやり易い事もある。だが融通がきかねえのも道理だ。 たまに窮屈に嫌気がさすときもあったが、そんな時、オレは街に消えた。 獲物なんざその辺にうようよいやがる。 皆のしてえことに口ははさまねえ。極力勝手にさせてやる。だがオレの 看板を名乗るからにはやり過ぎた奴、裏切った奴は容赦なくシメる。 消えて貰うこともある。 組織どうたらはオヤジにさんざん教えられた… 奴の汚さは使わせて貰っている。   リーベ・デルタに来たのは偶然でもねえ。 宇宙ってモノに興味もあった。あんな窮屈な小惑星(ほし)にうんざりもしていた。 第一あそこにはオヤジも兄貴どももいる。オレがあそこにいる限りは所詮 「ブルー家」の足かせが付いて回る。一番気にいらねエのはそれだったのかも知れねえ。 ノリでついてきちまった奴もいた。 自分の目標だという奴もいた。 理由はともかく「 チーム・ブルー 」の一部もついて来やがった。 つくづくオレも孤独には無縁らしい。 後は知っての通りだ。 オレが語るまでもないだろう。 ただな、ひとつだけ 誤算があった。 それはお前に… まあ、忘れてくれ。  つきあわせてすまねえ。じゃあな。