(デス・マッチ) 俺は知っていた… フォールTユウが弾丸のようなヤツだってことを そしてやつもわかっていた… グウレジェンドの隠された狂暴さを それは宿命と言っても良いのかもしれない。 ともに勢いで突っ走り、アツきことイタリアーノのごとき二人が今日まで 何事もなかったのがふしぎ遊戯… ちがう、なくらいだ。 そう、アノ日は暑かった。サウスカロライナの乾いた、でもムッとするような 風がオレたちをつつむ。そう、のるかそるかの緊張感と共に… もう、引く事は出来ない… そんな空気だった。 「 背中を見せたやつが、やられる 」 そんな状況でのにらみ合いが続く。言葉にはしない。それすらも隙になってしまうから。 ヤツは… いまだ吶喊の構えを崩さない。さすがは不死身の生還を果たしただけはある。 あんな緊張感を持続していられるとは… さすがのオレも一歩譲るな。 だがそんな局面も終わる時がやってきた。砂が風に巻き上げられる… その一瞬を ふたりは逃そう筈もなかった。 (バァァァァン!) そんな音がしただろうか、二人はお互いがいた位置に背中を向け合う様に立っていた。 「 やるじゃないか、なまってねえな 」最初に口を開いたのはヤツの方だった。 「 へ、ペンばかりかまってたわけじゃねえんだよ 」俺も負けずに切り返す。 「 だがオレのトレイン・アーツにいつまで太刀打ちできるかな、伝説の! 」 「 へ、るせえ! こちとら伊達にチャイニーズに育てられてねえゼ。そっちこそ 後悔するんじゃねえぞ。 」 次で決まる… ふたりともそう思っていただろう。腕の立つもの同志の戦いなど、 そんなものだ。 汗が頬を伝う。やらねば、やられる。 「ダァァァァァ!! 」 「 ホァァァァァ!! 」 スローモーションのようだった。まるでそれだけで1日がすぎたように… おれは、その後の記憶が、なかった。 「 でででで!!!! のわぁんでそんなにしみるヤツを… あーーーー!!!!!! 」 「 うっさい! たく決まって男のほうだわね! 武闘で傷つくって泣き言言い出すの わ! 」 「 うぎゃ! … だっておれは進む道が二つ以上あるのとしみる薬はだいっ嫌いなんだ ぜ! てぇ、かおーるちゅわん、またぁ! くわぁぁぁぁ!!!!!! 」 朦朧としていたオレもこいつの金切り声にはさすがに我にかえった。 「 おや、起きましたか! まったく無茶もほどほどにね! いくらレクリエーションだ からって… 」 「 ああ、…つうぅ! 」 「 とりあえず顔面に頭突きくらったみたいですからあんまり表情つけない方が… 」 「 はやくいえよ、まさごちゃん… 」 はは、さすがにホログラムの効果は抜群だ。たかが手合わせひとつにここまでのっちまう とは。しかし決着はついてない(だろうな、この状況をみると…)。 つぎはこうはいかねえぜ、フォール!